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南アルプスとニホンジカ

ページID:319431769

更新日:2014年10月1日

 伊那市長 白鳥 孝

 南アルプスには、3000mを超える山が13座あり、森林限界が高く、高山植物が豊富な山脈です。ところが、10年ほど前からここで異変が起きています。ニホンジカによる被害です。雪解けとともに3000mの稜線まで上がり、高山植物を舐めるように食べ尽くして夏を過ごします。「花の仙丈」とも称される仙丈ヶ岳(せんじょうがたけ)東面の小仙丈カールには、15~20頭ほどの群がいて、高山植物をむしゃむしゃ、日なか食べては過ごしています。もはや珍しい動物ではなくなり、いつでもどこでも見られるニホンジカは大変な厄介者に数えられ、里山にも多く生息しています。里では稲や野菜を、山地や亜高山帯では林床の植物と樹木の皮を、そして高山帯では貴重な植物をと、群で移動しながら南アルプスを食べ尽くしています。その結果、樹皮を剥がされた樹は枯れ、森の下草は消え、かつての高山植物のお花畑はなくなって、多少の雨でも山地崩壊が起きるようになりました。対策としては、農地と森林との境界に防鹿柵を張り巡らし、括(くく)りワナを仕掛けたり、猟友会にご苦労願ったりしています。さらに厄介なのは、簡易水道で生活水を賄っている山間部の地区がニホンジカの生息域であることです。ニホンジカやイノシシなどの大型獣に寄生する原虫のクリプトスポリジウムやジアルジアが、糞とともに表流水に混ざることが南アルプス全域で心配されています。これらの原虫は、5~12マイクロメートルと目では確認できない大きさで、塩素処理程度では死滅しません。多額のお金のかかる膜ろ過か紫外線処理などによらなければなりません。地方都市ではニホンジカ・イノシシ・サルなどのほかにクリプト・ジアルジアなどの原虫にも手を焼きながら対応に四苦八苦しています。

日本水道新聞「水魚」自由エッセイ 2014年1月16日号 掲載

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