伊那谷の仕事と暮らしvol.2 サン工業株式会社
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更新日:2020年9月25日
自分と会社の成長がリンクする、win-winな関係
伊那市西箕輪の伊那インター工業団地にあるサン工業さんの社屋は、ガラス張りのエレベーターから南アルプスの山脈を望みます。伊那に暮らしていて感じるのは、晴れの日も雨の日も、それぞれに異なる魅力を見せてくれる、雄大に連なる山々の美しさ。日々表情を変える景色を見ながら仕事に励むサン工業の皆さんは、どんな風に働いているのでしょうか。
モノづくりの先にはお客様
「サン工業は80種類のめっき加工が可能、オリジナルの高いめっき技術で全国に取引先を持っています。2016年にはめっき業界初のグッドカンパニー大賞の優秀企業賞をいただきました。私たちが心がけているのは、モノづくりの会社であっても、製品の先にはお客様がいるということ。製造業でありながら、サービス業ともとらえています。」と総務人事部部長代理の細田文恵さん。
そんな細田さんのお話に応えるように話してくれたのは、品質保証部品質保証課リーダーの唐木貴好さん。「部署が異動になって、こちらの担当が変わっていたとしても、お客様からすると同じサン工業の担当者です。経験は浅くても前の担当が良かったと思われないように、せめて前任者以上の対応をして、もっと品質に対する満足度を上げてもらえるようにしたいと考えています」。
モノづくりの会社、というと、なんとなく堅い雰囲気をイメージしていましたが、お話を聞いた社員の皆さんはとてもフレンドリーで、明るい。社内を見学しているときにすれ違う方々は、みなさん挨拶をしてくれるし、さっとドアを開けて、通り過ぎるまで押さえていてくれる。製造業でありながらサービス業でもある、という会社の精神が、社員の皆さんに浸透しているのが実感できる光景でした。
風通しのいい社員同士の関係
「課に関係なく、社員同士でディスカッションをして情報を得たり、それぞれが経験したことをフィードバックしあって、お互いに成長できています」。貴好さんは、そんなことを、さも当たり前のように、サラッと話してくれます。業務ではお客さまからのクレームに対応することもありますが、日ごろから課や担当を越えて相談しているといいます。
こんなコミュニケーションを日常的にとることができるのは、毎月1回行われる社内勉強会「SUNDay」の効果が大きいよう。めっきのことや、経営のこと、改善などそれぞれの取り組みを全社員で学んだり、発表しあったりする場であり、開催されるのは土曜日ですが…「Step-Up-No-Day(ステップアップの日)」の略称です。他の部署と一緒に同じことを学ぶことが、会社全体のベクトル合わせや普段話す機会がない人とのコミュニケーションのきっかけになっているそうです。
社内勉強会「SUNDay」
「伊那まつり」は山車づくりから準備して参加
さらには、社員が全員集まった朝礼や、忘年会、社内の夏祭りなど、部署を越えたつながりを作ることのできる機会が多いのもサン工業さんの特徴。「コロナの関係で今年はできていませんが、飲み会やお祭りの時には普段話さない人と話す場になりますし、広くコミュニケーションがとれますね」。と話してくれたのは製造部製造二課チーフの唐木美佳さん。
プライベートで会社のメンバーで旅行に行くこともあるそうで、スカイダイビングの計画は3回連続の雨に降られて結局中止になってしまったとか。インタビューをしている時の皆さんの楽し気な雰囲気や、お話の内容を聞いていても、社内の環境の風通しがよいこと、それが仕事のやりやすさにフィードバックされているのだと感じます。
休みの日はとうもろこしの食べ比べ
「いまはとうもろこしの食べ比べをしてるんです。品種が20種類くらいあるんですよ」。お休みの日はなにをしていますか?という質問に優しい声とふんわりとした笑顔で答えてくれた美佳さん。大学では栄養学を学んだほどお料理が好きで、休日はスーパー巡りもしているとか。進学で一度地元を離れたものの、戻ってくるとはじめから決めていました。「特に大きな理由はないけれど」、と、あくまでマイペースな美佳さんですが、作った料理は家族が食べてくれることがよろこび。「自分のためには、たぶん作らないかな」。生まれ育った場所で、安心できる人に囲まれて日々を過ごせることが、地元で働くことのよさのひとつかもしれません。
そして、この地の魅力として外せないのが恵まれた自然だと貴好さんが話してくれました。「地元には友達もいるし、自然が多いのが好きなのでそれがいいですね。大学を過ごした神奈川県は、建物ばかりで、山がなくて落ち着かない感じでした、緑がないって(笑)」。
暮らしていると当たり前の風景になってしまって、意識をせずに過ごしてしまうこの地の自然も、一度離れるからこそ改めてその良さがわかってくるのかもしれません。毎日目に入る山の緑や空の青さ、一面に広がる白い雲を当たり前に眺められることは、とても幸せなことなんだと気づかされます。
働くことで成長する日々
美佳さんの仕事は、納品される依頼品の内容や納期をチェックし、出荷する製品にきずや汚れがないか検査をする、いわば会社の入口と出口を守る立ち場。仕事をしている様子を見せていただくと、インタビュー時とはまったく違う目で製品と向き合っていました。
貴好さんにサン工業を選んだ理由を聞くと「会社説明会や面接の担当者の対応がよかったことと、知識がなくても一から勉強できる環境があって、業界に対してその時の自分がゼロだとしても、自分次第で成長して会社の力になれるというのが大きかった」。実際は入ってから自分でしっかり勉強しないとだめだ、と感じたそうですが、そんな学びの場も会社には用意されているそう。業務に直結するめっきに関する学びは、技能検定の全員取得を目指したり、新入社員や検定の練習ができるめっき道場が社内に整備されていたり。
しかし、サン工業さんの学びはそれだけではないと細田さん。「会社の企画でジャズのコンサートや落語会を開催したり、社員旅行も2年に1回行っています。サン工業は地場産業でありますが、県外や海外とのお付き合いも多い。そうすると個人が自分の経験値や知識の引き出しをどれだけ持っているかが、社会人としてやっていく肝になります。若いうちは自分の好きなことだけを選びがちなので、経験を増やす努力ができるような環境も作るようにしています」。
今回のインタビューで感じたのは、皆さんが仕事とプライベートの両方を楽しんでいるということ。細田さんは「ひとりひとりの成長が企業の成長につながる。自身の目標を実現できるよう、知識や経験を増やしてほしい」。と、言います。仕事が暮らしの大部分を占めることは、紛れもない事実。だとしたら、働くことを通じた日々の成長は、暮らしを豊かにする。そんな人と会社の好循環に触れた時間でした。
左:細田文恵さん、中央:唐木美佳さん、右:唐木貴好さん
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