新市まちづくり計画
 
 
 
  目 次
第1章
第2章 第3章 第4章 第5章 第6章 第7章 第8章 top  
 

 第1章 序 論

 
 
 第1節 合併の背景
 

伊那市、高遠町、長谷村は、古くから強い結びつきがありました。現在でも、高遠町、長谷村の多くの住民が、通勤・通学や日常の買い物、医療機関の利用など、生活の様々な場面で伊那市との関わりを持っています。また、伊那市は、市内を流れる三峰川のはん濫防止や農業用水の確保などといった面で、三峰川上流域の美和ダム・高遠ダムの恩恵を受けています。このように3市町村は、生活圏の面などで結びつきが強く、互いに協力し合う関係にあるといえます。
 
今後、国や地方の財政状況の悪化、少子・高齢化の進行などの問題が一層深刻化するとともに、地方分権時代が到来するなど、行財政の運営はますます厳しさを増していくことが予想されます。また、2005年度の権兵衛峠道路の開通や、国道153号伊那バイパスや国道152号の整備促進など、市町村が単独では対応しきれない、広域的な視点に立ったまちづくりが求められるようになっています。
 
こうした状況の下、2004年9月7日に「伊那市・高遠町・長谷村 合併協議会」を設置し、1市1町1村の合併を推進するための協議がはじまりました。

 

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 第2節 合併の必要性
 
 (1) 住民の日常生活圏の拡大 
 

近年の交通手段の発達、道路網の整備に伴い、人々の通勤・通学、買い物、通院等の移動の範囲(生活圏)が、行政区域を越えて拡大しています。このため、生活圏や経済活動圏に対応した行政体制の整備や、情報社会に対応した基盤整備が求められています。
 
本地域においても、各市町村の主要な地域の間は自動車で概ね30分程度となっています。このため、高遠町と長谷村から伊那市へ通勤・通学する人は、2000年現在で1,400人余りであり、これは2町村の全通勤・通学者の27%に達しています。また、2000年度長野県患者調査では、高遠町の患者の45%、長谷村の患者の44%が伊那市の医療機関で受療しています。さらに、2000年度長野県商圏調査によると、高遠町の66%、長谷村の79%の消費者が伊那市で買い物をしています。
 
市町村合併により、これらの人は、通勤・通学先においても、居住地と同じ行政サービスを受けることができるようになります。また、文化施設や体育施設等の公共施設も、等しく利用することができます。

 

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 (2) 少子・高齢化社会への対応 
 

少子・高齢化が進展し、労働力人口や総人口が減少することが予想されています。また、福祉・医療費等の社会保障費用の増加が見込まれる一方で、税収の減少、地域社会の活力の低下などにより収入が減少し、市町村は健全な財政運営を行うことが困難になっていくものと予想されます。
 
本地域の65歳以上の人口比率は、最新の2000年国勢調査 ※1 によると23%であり、高遠町では34%、長谷村では38%にも達しており、今後ますます高まると推定されます。一方、15歳未満の人口比率は16%であり、高遠町や長谷村では12%にとどまっています。このため、この地域が一体的に発展していくために、市町村合併により安定した財政運営を図るとともに、地域組織やその活動を維持する必要があります。
 
また、このような少子・高齢化社会においては、住民全体で福祉や子育てを支えあう地域社会のあり方についても考えていかなければなりません。

 

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 (3)地方分権の推進 
 

地方分権の進展により、国と地方自治体は、従来の上下の関係から対等の関係になりつつあり、市町村が自己決定、自己責任の原則に基づき、自立した行政運営を行うことが求められています。このため、時代の流れや住民の要望に応える行政を行っていくためには、市町村合併により政策立案や法務、技術などの専門性の高い能力をもつ職員を確保し、組織体制を整え自治能力を向上させる必要があります。

 

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 (4)国・地方における財政の改善 
 

国と地方を合わせた長期債務残高が、2004年度末には700兆円を超える見通しとなるなど、わが国の財政は危機的な状況にあります。このため、国は三位一体の改革 ※2 等の本格的な財政構造改革に着手しており、地方財政制度の見直しにより、市町村の財源を補う地方交付税 ※3 等は今後大幅に減少すると予想されています。
 
本地域の市町村においても、地方交付税収入は年々減少しており、歳入に対する地方交付税等の割合は、伊那市では約2割、高遠町と長谷村では約4割を占めています。今後、地方交付税の更なる減少や税収の伸び悩み等により、財政状況はますます厳しくなっていくものと予想されます。このため、市町村合併を契機に、行財政改革を進めるとともに、自主財源の確保等を図り、健全な財政運営をめざす必要があります。

 

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 (5)住民要望の多様化への対応 
 

住民の価値観や生活スタイルの多様化により、行政に対する住民の要望も多種多様になってきています。
 
こうした要望に応えるため、より専門的で高度な行政サービスを安定的に提供できる体制を整備することが必要となります。
 
本地域においても、高遠町や長谷村では、1人の職員が数多くの業務を兼務しており、住民の要望にきめ細かく対応することが困難になっています。合併で地方自治体の規模が拡大することにより、特に都市計画や国際交流、地域情報化等の分野で必要とされている専門性の高い能力を持つ職員を育成することが可能になり、高い水準の行政サービスを提供することができるようになります。一方、合併を契機に住民と行政の協働を進め、住民要望の多様化に対応することも必要です。

 
 
※1 国勢調査
わが国の人口及び世帯の実態を把握して各種施策の基礎資料を得るとともに、結果を広く一般の利用に供することを目的に5年ごとに行われる統計調査。
※2 三位一体の改革
第7章の財政計画用語解説※2を参照。
※3 地方交付税
第7章の財政計画用語解説※6を参照。
 
 

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 第3節 3市町村のつながり
 

伊那市・高遠町・長谷村の3市町村は、生活面や歴史的に非常に深いつながりがあり、まさに一体化している地域といえます。

 
 (1) 三峰川水系での深い結びつき 
 

南アルプスから流れる三峰川の清流は美和ダム、高遠ダムを経て伊那市へ流れています。上流にある長谷村、高遠町の下水道整備の促進、環境に対する配慮により、現在の三峰川の水質は保たれ、下流域は大きな恩恵を受けています。また、伊那市・高遠町では、三峰川水系の水を利用することにより、「川下り米」として良質で美味しい米を生産しています。
 
 一方、2つのダムがあることで、多くの水害から三峰川流域は保護され、被害が最小限に抑えられてきました。また、美和ダム・高遠ダム水源地域ビジョン、開かれたダム施策や、三峰川みらい計画による水源地域活性化にも一体的に取り組んでいます。このように、今日まで3市町村は、同じ河川を共有し、相互に助け合いながら、行政運営を行ってきました。

 

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 (2) 縁戚関係の深い地域 
 

1959年の美和ダム建設に伴い、多くの長谷村の住民が転居を余儀なくされました。またその後も若い世代の転出などにより、長谷村や高遠町から多くの住民が伊那市へ転居しており、お互いに親戚縁者が多く居住しています。このように、本地域内は、密接につながっているといえます。

 

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 第4節 計画策定の方針
 
 (1) 計画の趣旨 
 

本計画は、伊那市、高遠町、長谷村が合併した場合の新市の発展や施策等の方向性を示すとともに、その実現を図ることにより新市の速やかな一体性を確保し、地域の均衡ある発展と魅力ある地域づくりや住民福祉の向上、行政サービスの高度化など総合的な発展と振興をめざして策定するものです。
 
また、今後は近隣市町村との連携による施策展開も重要になることから、「将来は上伊那がひとつになる」という願いを込めて、合併後の新市の枠組みだけにとらわれず、上伊那の中核都市として、地域全体の振興についても考えるものです。
 
なお、本地域の進むべき具体的な方向については、地方自治法第2条第4項に基づき、新市において策定する総合計画(基本構想、基本計画)などに委ねていきます。

 

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 (2) 計画の構成 
 

本計画は、新市のまちづくりの基本方針、新市の将来像を実現するための主要施策や公共的施設の適正配置と整備、財政計画により構成します。

 

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 (3) 計画の期間 
 

本計画は、長期的視野に立ったものであり、合併年度及びこれに続く10年間とします。

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