市誌編さん室だより

　日本では、選挙といえば「日曜日」の投票が定着していますが、世界では必ずしもそうではありません。
　昨年のアメリカ大統領選挙は11月5日「火曜日」に行われました。アメリカでは1845年、大統領選挙の投票日は「11月の第1月曜日の次の火曜日」と連邦法で定められました。当時、国民の多くは農業に従事するキリスト教徒だったため、収穫が終わり、冬が本格的にやってくる前の11月が最適であり、日曜日はキリスト教の安息日であるため避けられました。
　イギリスの選挙では、慣例的に「木曜日」に多く実施されます。韓国では、大統領選挙を含む国政選挙の投票日は「水曜日」。この日は休日になります。
　日本もかつては平日投票が一般的でした。1890（明治23）年の第1回衆議院選挙の投票日は「火曜日」でした。戦前に行われた21回の衆議院選挙を見ると、投票日が日曜日なのは2回しかなく、戦後も1969（昭和44）年まで計11回の選挙のうち6回が平日投票でした。それ以後は日曜日を投票日とすることが慣例となっています。参議院選挙は1959（昭和34）年の火曜日の投票が最後の平日投票でした。
　地方選挙でも全国的に日曜日を投票日とする自治体が大半ですが、公職選挙法には、投票日の曜日の定めはなく、今でも日曜日以外に投票日を設けることは可能（国政補欠選挙は除く）です。
　旧伊那市は1983（昭和58）年、高遠町は1972（昭和47）年、長谷村は1971（昭和46）年以降の地方選挙は日曜日投票となりました。
　なお、投票日に仕事や用務などで投票できない場合には、投票日前に投票ができる期日前投票制度が設けられています。
問：市誌編さん室