第11回「月一モイmoi」 焚き火ウィーク　レポート

森と学びを軸としたフィンランド連携を多様に推進する中、地域のみなさんにフィンランドの魅力を知ってもらい、フィンランドの暮らしを自分の暮らしにも取り入れるきっかけになればとの思いからスタートした「月一モイmoi」。
対話や体験を通して新しいコトを知り、フィンランドを通じて見える、もともと伊那市にある暮らしの豊かさを可視化します。
その第11回となる「焚き火ウィーク」を、10月31日から11月5日までの6日間、鳩吹公園の市民の森で行いました。

初日は黄色に染まった葉をたくさんつけていた、こもれび広場のヒトツバカエデ。
たき火ウィーク中盤にはひらひらと落ち葉が舞い、最終日には地面を覆うような美しい黄色のじゅうたんとなりました。
この数日間だけでも、秋から冬へとゆっくりと移ろう季節が感じられました。

雨上がりの森に光が差す瞬間、紅葉したカラフルな山に虹が架かった朝。
晴れの日、雨の日、くもりの日、森にはそれぞれの天気の中で違った美しさがありました。

子どもも大人もわいわいとたき火を囲んでお昼ごはんを食べる日もあれば、
少ない人数でしっとりとお話ししたり、草木染めを楽しんだりする日もありました。
どんな日も森はそこにあり、その日に集まった人たち同士で、たのしくおだやかな時間を過ごしました。

子どもたちはひみつきちを作ったり、火起こしのコツを研究したり、
ここで出会って友達になって「明日も来る？」なんて会話が交わされたり。
毎日やってみることで、見えてくるものもありました。

子どもも大人も関係なく、すてきなひみつきちを作りました。
枝を集めていくうちに、だんだんそれらしい形になってきて、

中に入ってみたくなったり
すてきな丸い窓を作ってみたり
お茶をする用のテーブルを置いてみたり
太めの枝で電柱を立てて、つるの電線を引いて、黄色い葉っぱのランプを取り付けてみたり

やってみたいことを形にしていくうちに
次々とまたやりたいことを思いついて
ひとりでやるのは難しいことも、みんなで知恵を出し合いながら試してみたら
意外とできちゃって、ちょっとうれしくなったり。

森の中では大人の指示も、新しいおもちゃも何にも必要なくて
ただ夢中になって、目の前のことをやっているうちに
あっという間に楽しい時間が過ぎていきました。

期間中、ミドリナ委員会のイベントである森JOYの日もありました。

ステージから聞こえてくる美しいピアノの音色や歌声に包まれながら
フィンランドのことを知るクイズに答えたり、
たき火を囲んでおいしいものを食べたり、あったかいものを飲みました。

協力隊のおねえさんと一緒に野あそび散歩に出かけたら、
すてきなかんむりや落ち葉アートの作り方がわかって
またひとつ、森と仲よくなれたような気がしてきます。

その日その日のメンバーで、一日として同じ日はなく
草木染めをしたり
feel度walkをしたり
お芋やりんごを焼いて、はじめましてのみんなと分け合ったり
その場で会った子と友達になったり
時には海外からの参加者を迎えて英語でおしゃべりしたり
ひみつきちが楽しくて、連日きてくれる人がいたり
森を彩る秋の葉っぱのように、カラフルな時間が流れました。

5月にフィンランドに行ったとき、フィンランドで生まれ育った人たちが口をそろえて
「森は自分自身でいられる場所」
と言っていました。
その感覚が分かるかと自分に問うたときに、
はっきりと「分かる」といえる自信がないままこの数ヶ月を過ごしてきましたが

今回、連日森に足を運び
来る日も来る日もたき火をする毎日を繰り返してみて感じたのは
いい意味での「無」でした。
森にいるとき、わたしはいい意味で
なんにも思わない。
なにかを「いい」「悪い」とジャッジしたり
「好き」「嫌い」の強い感情に揺さぶられたり
「これをやらねば」というプレッシャーに追いかけられたり
そういう気持ちになることが、一切ない。
この「無」の気持ちは
フィンランドの人たちを見て感じた「落ち着き」「自分軸」に通じるものがあるような気がします。
自然の中ですごすと、
真ん中の自分でいられる。
この「無」のことを、彼らは
「自分自身でいられる」という言葉で表現していたのかもしれないし
違うかもしれない。

今回のたき火ウィークをやってみて
そんなことを考えました。

12月16日火曜日から12月20日土曜日まで、
伊那図書館1階でフィンランドのクリスマスウィークを行います。
わらで作ったフィンランドの伝統の飾り「ヒンメリ」を作るワークショップや、みんなで完成させるジグソーパズルなど、
5月の視察で見てきたフィンランドの図書館のような、思い思いにゆっくりとすごす空間を再現してみたいと考えています。
17日はコーヒーの焙煎体験も予定しています。
ぜひ、ふらりとお立ち寄りくださいね。