令和7年3月議会定例会あいさつ
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更新日:2025年2月27日
令和7年3月伊那市議会定例会の開催をお願いしましたところ、議員各位におかれましては、公私ともお忙しい中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。定例会開会にあたり、一言ごあいさつ申し上げます。
今年は、2月に入ってから厳しい寒波が日本列島を覆い、先週末まで全国的に厳しい冷え込みが続きました。日本海側を中心に、西日本に至るまで広い範囲で降雪があり、除雪が追い付かない状況や雪下ろし作業中の事故などのニュースが連日報道されていました。
おかげさまで伊那谷は大雪に見舞われることもなく、比較的穏やかな冬となっております。今週に入ってからは春を思わせる陽気が続き、高遠城址公園の桜の開花予想が気になるところでございます。今年は、高遠城址公園が明治8年に公園化してから150周年の節目の年となります。これを契機に、先人たちが護り育ててきたタカトオコヒガンザクラをはじめ、歴史や文化的価値といった大切な財産を未来に繋いでいけるような記念事業を実施しながら、更なる魅力発信に努めてまいります。
今月5日には、国土交通省からの依頼により、大臣の諮問機関であります国土審議会の専門委員会に出席し、伊那市が展開しておりますテクノロジーを活用した地域課題解決の取組につきまして、プレゼンテーションを行ってまいりました。遠隔医療型MaaS「モバイルクリニック」や、ドローンを使った買物支援サービス「ゆうあいマーケット」についてご紹介をする中で、同様な取組を行う多くの自治体が実証実験で終わってしまっている現状を踏まえ、伊那市のような成功例をまとめて国が示し、横展開が図られるようにすべきとの意見を申し上げたところであります。
今後も手を緩めることなく、伊那市の輝かしい未来の創造に向け、誰もが幸せに暮らし続けられる持続可能な社会の実現を図ってまいりたいと存じます。
また、今月16日には、今年で第11回目となる伊那市消防団音楽隊の定期演奏会が伊那文化会館で開催されました。市内4校の中学生との共演に加え、伊那ジュニアアンサンブルクラブにもご参加いただき、ご来場いただいた約800人の皆様に、演奏や寸劇等を通じて防火・防災についての啓発、消防団活動のPRを行いました。
さて、最近の全国の経済情勢でございますが、本年2月の内閣府発表「月例経済報告」の基調判断では、「景気は、このところ一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」とされています。しかしながら、物価上昇、アメリカの動向、中東地域の情勢などの影響が心配されるところであります。
2月の長野県内経済情勢も「持ち直している」とされていますが、雇用情勢は「足踏みの状況にある」としており、ハローワーク伊那管内の12月の有効求人倍率も、前年同月から「0.05」ポイント低下した「1.28」倍で、令和5年3月以降22か月連続で前年同月を下回る状況が続いています。
原油価格や食料品などの物価高騰が続く中、景気回復の実感は弱いものとなっており、今後も景気の動向を注視していく必要があると考えております。
本定例会では、このような経済情勢を踏まえて編成しました令和7年度当初予算案について、ご審議をお願いいたしますので、はじめに、伊那市の財政状況を総括いたします。
合併当初の平成18年度に「20.8」であった「実質公債費比率」は、令和5年度決算では「6.8」と大幅に改善してきております。なお、令和6年度決算では、下水道事業会計における資本費平準化債の償還金の財源を資本費平準化債の借り換えで対応したことが影響し、数値が若干上振れすると推測しております。また、「将来負担比率」は、平成28年度以降の「数値なし」を維持できる予定です。
令和6年度末における市債残高も、「返すより多く借りない」という財政規律のもと、減少を見込んでおり、健全財政は維持できるものと考えておりますが、さらなる物価の高騰や人件費の増大により、今後、厳しい財政運営を強いられることもあり、より一層の行財政改革を進める必要があります。
さて、令和7年度の当初予算編成に当たっては、「時代の変化に対応する地方都市のトップランナー」を意識した予算編成を心掛けました。ここ数年で、広域交通の変革、高校の再編など伊那市を取り巻く状況が大きく変化しようとしております。また、以前から取り組んできました、「食・水・エネルギー」の自給自足もますます重要性を増しております。このような時代の趨勢の中で、新産業技術の活用をはじめとした施策を積極的に展開し、いま抱えている課題を、それぞれ解決に導いていくための取組を進めてまいりたいと考えております。
また、令和7年度に策定から10年目を迎える「伊那市50年の森林ビジョン」や、フィンランドとの連携から学ぶ、地域の資源を最大限にいかす「森と学び」をさらに深めていくとともに、官民共創で取り組んでおります「新しいまちづくり」も推進してまいります。
さて、上程いたします令和7年度予算の規模は、一般会計が384億5,200万円でございまして、これは骨格予算の肉付けと位置付けました令和4年度6月補正後の予算に次ぐ、過去2番目の規模で、3月定例会に提案した当初予算案としては過去最大であります。令和6年度当初予算と比べますと9.0パーセント、31億8,000万円の増となっております。
なお、この一般会計に、特別会計・企業会計を合わせた全会計の予算合計額は、626億6,417万円となり、令和6年度と比較して、25億8,450万円、4.3パーセントの増となっております。
次に、一般会計の歳入について、主なものを申し上げます。
まず、市税でございますが、対前年度比、5億7,155万円、6.6パーセント増の、92億3,335万円を見込んでおります。税目別では、市民税で、対前年度比、3億5,815万円、9.6パーセントの増加を見込んでおります。これは、令和6年度では国が実施する定額減税により、個人市民税が減税されることの影響見込額3億2,000万円を減額して計上しており、令和7年度はこの減税措置の影響を受けないことから、個人市民税は11%増の35億5,400万円を計上しております。
固定資産税は、新増築件数の増加により、家屋への課税を中心に1億1,435万円、2.8パーセントの増の42億245万円を見込んでおります。
次に、地方交付税ですが、本年度実績を踏まえつつ、堅調な市税収入による減が見込まれるものの、物価高騰や人件費の上昇による算定経費の増を考慮し、1.8パーセント、約1億9,100万円増の107億2,586万円としております。
また、国庫支出金では、「デジタル田園都市国家構想交付金」が「新しい地方経済・生活環境創生交付金」に改まり、仮称ではありますが美原防災スポーツセンターへの活用を計画しているほか、令和6年度からの児童手当の拡充等により国庫負担が増え、17.2パーセント、約6億9,300万円の増を見込んでおります。
同様に、県支出金では、地域生活支援事業補助金の増や、7月に参議院議員選挙が予定されていることから、10.8パーセント、約2億4,500万円の増を見込んでおります。
次に、寄附金は、事業運営の見直し等により、ふるさと納税を本年度当初予算の7億円から、10億円としております。
また、繰入金では、ふるさと納税の返礼品等に充当する「ふるさと応援基金」からの繰り入れが、寄附額の増額に伴い増となっているほか、美原防災スポーツセンターや国民スポーツ大会に向けた施設整備、陸上競技場の第2種公認更新など、課題である大型事業の財源として活用を予定しております。また、当初予算の一般財源不足を補うため、財政調整基金は約8億6,400万円の取崩しを計上しております。
歳入の最後に、市債は、交付税措置率の高い起債を活用して事業を進めておりますが、臨時財政対策債を除く市債において、「返すより多く借りない」という財政規律を維持してまいります。
なお、臨時財政対策債は、制度創設以来初の新規発行額ゼロとなっております。
以上、令和7年度の歳入では、市税等が堅調と見込まれるものの、物価高騰や人件費の増大等により、必要と見込む一般財源の増に及ばないため、当初予算では財政調整基金の取崩しにより一般財源を確保いたしまして、事業を推進してまいりますが、効率的な執行等を心掛け、基金の取崩しを最小限にとどめてまいりたいと考えております。
次に、一般会計の歳出につきまして、特徴的な内容についてご説明いたします。
はじめに、新しいまちづくり関連では、スタートさせました官民共創による新しいまちづくり協議会の活動を進めてまいります。
CO2削減、再生可能エネルギー、環境関連施策では、これまでの屋根置き太陽光発電設備やペレットストーブ、ペレットボイラー等の導入を支援する事業に加え、小型木質バイオマス発電の実証事業や市有林の主伐・再造林事業に取り組むほか、物価高騰対策を兼ねまして、中小事業者が実施する省エネルギー施設導入への補助を考えております。
次に、移住定住関連施策では、令和5年度に開始し、高い評価をいただいております「いな住まいる補助金制度」について、令和7年度は過疎地域及び田舎暮らしモデル地域の宅地開発に関し、分譲区画数の要件を無くしまして、さらなる定住の促進を図ってまいります。
福祉施策関連予算でございますが、令和4年度から「すべての福祉に漏れがない取組」として、18歳以下の子ども医療費窓口無償化や、支え合い買物サービス、ぐるっとタクシー、市街地デジタルタクシー、保育園の副食費の完全無償化など、充実を図ってまいりました。これらの施策を継続した上で、高遠第2・第3保育園の現地建替えを行うほか、新たに保育士確保に向けた移住補助金の創設、産後間もないお母さんの育児相談やリフレッシュの機会を創出する事業などにも取り組んでまいります。なお、帯状疱疹ウイルスのワクチン接種については、国が定期接種化の方針を打ち出しておりますので、詳細を詰めまして、補正予算にて提案させていただきます。
産業振興関連施策では、六道原工業団地第2期拡張事業の測量設計や用地取得に着手するほか、既存の制度をリニューアルする創業支援事業や若者を応援する奨学金返還支援事業を充実させてまいります。また、有機栽培を促進するための学校給食への有機米の導入も、引き続き進めてまいります。
次に、社会インフラ整備、まちづくり推進関連施策では、幹線道路の整備促進、道路の舗装修繕に集中的に取り組みます。
また、教育関連施策では、先ほど申し上げました美原防災スポーツセンターの建築に着手するほか、令和10年開催の国民スポーツ大会に向けた施設整備、陸上競技場の第2種公認更新に向けた事業等を行ってまいります。
加えて、物価高騰の影響を受ける学校給食会計への補助を継続するほか、NPO法人と連携した不登校児童生徒への支援、学校登山の充実に加え、理科専科講師の市費による任用、民間のプールを活用した水泳授業の開始など新たな取組を始めます。また、「森と学び」の実践として、市民の森と鳩吹公園で、森での活動を取り入れた長期休業中の「森の自習室」と、月1日程度、不登校の児童生徒を対象とした「森の教室」の開催を考えているところであります。
防災関連施策では、地域の拠点施設となる高遠町総合支所の新庁舎完成と使用開始を予定しているほか、老朽化の影響で災害の発生が懸念される市街地における水路や兼用側溝について順次、改修を進めてまいります。
さらに、近年の気候変動を受け豪雨災害が心配される中、天竜川流域の総合的な治水対策となる戸草ダム関連の活動についても、引き続き関連市町村と協力して推進してまいります。
以上、令和7年度当初予算の主な事業等につきまして、ご説明をいたしました。
また、併せてご提案いたします令和6年度3月補正予算では、予算規模を決算に近づけるとともに、国の補正予算を活用して、令和7年度に予定しておりました、小中学校の通信環境向上のための学習系ネットワーク更新や西春近北小学校体育館の照明LED化、東部中学校、春富中学校への空調設備の設置、市道伊那北学校線の改良事業などを実施するほか、「新しい地方経済・生活環境創生交付金」の新規メニューとされました避難所の環境改善に取り組むための予算を計上しております。
なお、引き続く物価の高騰は、未だ「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行の実感はなく、市民や企業の経済活動に大きな影響を及ぼしているところであります。今後とも、こどもをはじめ社会的に弱い立場に置かれた皆様への支援に取り組みつつ、必要な対策を随時、提案させていただきます。
さらには、喫緊の課題である施設の統廃合や経常経費の徹底的な削減などを進め、行政にも経営の視点を求めながら持続可能な伊那市づくりに取り組んでまいりますので、議員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。
本定例会に提出いたします議案は、一般案件7件、条例案件16件、その他案件1件、補正予算案件9件、令和7年度当初予算案件13件の合計46件でございます。
詳細につきましては、担当部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご議決賜りますようお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。
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