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三峰川

更新日:2014年10月1日

 伊那市長 白鳥 孝

挨拶

 このたび、伊那市長に就任しました白鳥孝と申します。今後とも先生方には、地域医療全般にわたりお世話になりますが、よろしくお願い申し上げます。
 さて今回、医師会の「上伊那医師会報」に、私の好きな三峰川(みぶがわ)の一面について書かせていただきました。このような機会をいただきましたことに対して感謝申し上げます。お手すきの時にご笑覧ください。

概要

 三峰川は南アルプスの仙丈ケ岳(3033m)から流れ、流程60キロメートルをもって、伊那市役所付近で天竜川に合流しています。仙丈ケ岳からはじまって南に約20キロメートル、西に数キロメートル、今度は北に、そしてふたたび西に10数キロメートルと、大きな蛇行・転向をしながら、標高差2000メートルをもって流れる急流河川です。私はイワナ釣りや登山が趣味で、この三峰川流域に30年以上通ってきました。学生の頃から、北海道の日高山系・大雪山系の渓々や、上信越・飯豊朝日連峰などの渓と山。あるいは北アルプスの黒部川流域、南・中央アルプスの中部山岳などを跋渉(ばっしょう)してきました。なかでもふるさとの三峰川へは、毎年のようにテントを背負って、沢のなかで一泊しながらの遡行をしています。こうした三峰川との長いつきあいの中から、ここに生息するヤマトイワナや南アルプスの地質構造などの範疇から、やがて三峰川流域の森林や植物に興味を持つことになりました。長年親しんできました三峰川源流の森と花についてお話させていただきます。

森の川

 私のこころを引きつけてやまない三峰川の魅力に、亜高山帯に広がる針葉樹林があります。人跡まれな原生林です。亜高山帯の林床植物には小型の草本類が多く、シダ植物・コケ類・地衣類を交えた植生は、どちらかと言えば貧弱な部類になるのかもしれません。しかし、このひっそりとしたたたずまいが三峰川にはよく似合います。セリバシオガマ・オサバグサ・タケシマラン・ゴゼンタチバナ・ツバメオモトの高山植物が清楚な花をつけています。ひんやりと薄暗い林のなかでは、白い花がひときわよく目立ちます。不思議なことに針葉樹林に咲く花の多くは白く、亜高山の虫たちがよく気がつくようにと、神が与えてくれた色なのでしょうか?
 南アルプスでは、北アルプス、中央アルプスなどに比べて森林限界がかなり高くなっています。三峰川流域では、2700メートル付近が森林限界で、この高さまでオオシラピソ、シラピソ、トウヒなどの高木針葉樹が生えています。同じ天竜川水系の小渋川、遠山川の支流でも、また稜線を挟んだ野呂川、大井川の各支流でも同様な傾向を見ることができます。
一般的に植物の垂直分布上の分類は、丘陵帯、山地帯、亜高山帯、高山帯に分けられていて、三峰川では丘陵帯を除くすべての植物を観察することができます。このことは、三峰川に限ったことではありませんが、特筆すべき点は、三峰川が天竜川合流点(標高630m)から仙丈ケ岳(標高3033m)までのおよそ2400メートルの標高差と、60数キロの距離のなかに、幅広い帯状の配列で山地帯、亜高山帯、高山帯の順に触れることができることです。
 渓相といい、林相といい、三峰川の魅力を余すことなく魅せてくれるのは黒槍谷(くろべい)から上流です。これより上には人工構造物は何もありません。まったく手つかずの自然があります。深く切れ込んだ谷の中を針黄樹林につつまれながら、何10回と徒渉を繰り返しながら遡ります。所々にかすかに残る巻き道では、ブナやイチイの巨木に出合うことができます。ふた抱えもある天然ヒノキが群生する場所もあります。岩壁を抱き込むように根を張る天然カラマツに驚き、スーツと天まで伸びるコメツガを首が痛くなるまで見上げ、直径が1メートルもある枯れ木が折り重なるように倒れるなかを越えていきます。四囲の山はどこまでも緑濃くそして深く、ウラジロモミ、ヒメコマツ、コメツガ、シラピソ、トウヒなどの針葉樹に混じって、ダケカンバ、ナナカマド、バンノキの落葉広葉樹が混生しています。しっとりと心落ちつく流れに終始する三峰川は、日本を代表する「森の川」なのです。

花の川

 足元に注意して遡行していると、岸辺の河原で驚くほど美しい花たちに出合うことがあります。時季にもよりますが、7月は特に花の種類が多く見られます。花は標高1600メートルの大横川出合あたりから目につくようになります。実はこれらは高山帯に属する貴重な花なのです。このあたりの針葉樹林では、セリバシオガマ、オサバグサ、ツバメオモト、ゴゼンタチバナなどの亜高山帯植物が咲くなかに、3000メートルの高山に咲く植物を見ることができます。先年三峰川を遡行したときに出合った高嶺の花たちを紹介しましょう。
 大横川付近の砂礫の河原に南アルプス特産のオオタカネビランジがありました。花びらの先にスリットの入った、濃いピンクの花が寄り添ってひと群れ咲いていました。その先の谷が狭まったところでは、細かな白い花をつけた植物を見つけました。今までうっかり見落としてきたのか、あまりに多くあって気がつかなかったのか、河原の至るところで揺れていました。イワツメクサとクモマミミナグサです。珍しいところでは、岳沢(だけさわ)出合付近に、タカネバラがありました。枝に細いトゲをいっぱい持ち、淡紅色の五弁花をつけるバラ科の仲間です。風の強い南アルプス稜線では、30~40センチほどの高さにしかなれませんが、このあたりでは2メートルを越えるものもあります。ミヤマオダマキ、ミヤマハタザオ、クルマユリ…。すべて南アルプスの仙丈ケ岳からの贈りものです。
 ではなぜ、1600メートルや1700メートルの低い標高に高山植物が育っているのでしょうか?。ヒントは「水」と「雪」にあります。つまり植物の種は、雪崩などによって高山から下へ運ばれて芽をだします。この場合、夏季の気温が高くてはいけません。ところが南アルプスの森林が育んだ水は、盛夏でも低い水温を保ちながら流れるために、高山植物が生育できる条件が川の周辺にできるのです。また上流の至るところは雪崩によって埋めつくされ、遅くまで雪渓となって残っています。7月中旬まで残る雪渓が、冷たい水を供給しているのもひとつの理由です。三峰川の亜高山植物が見られる所以です。
 三峰川は針葉樹林のなかをとうとうと流れています。遡行するには最低でも1泊2日は必要です。三峰川がいかに広範な亜高山帯を流れているかを示しています。こんな川はそうはないでしょう。高山の小鳥、メボソムシクイ、コマドリ、ミソサザイの清澄な声と、やさしい調べの水音が心地よい「森の川」の三峰川は、もうひとつ高山から贈られる高山植物でにぎわう「花の川」でもあるのです。

寄稿 三峰川.上伊那医師会報.上伊那医師会.2010年5月1日 7頁

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