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100年に1度の除雪

更新日:2014年11月26日

 伊那市長 白鳥 孝

 「今年は雪が多くて多くて」、「雪が早く融けないと小屋が建てられない」、「今シーズンの営業は無理かもしれない」などと、2日を置かず何とかして欲しいと連絡が入ってきました。発信元は西駒山荘を管理してもらっている宮下君や、この小屋の建築に携わっている伊那山仲間の北原大ちゃん達からです。
 中央アルプスの将棋頭山付近にある「西駒山荘」は、昭和24年頃までは「伊那小屋」と呼ばれていました。管理の移管を地元の内ノ萱・天狗から、旧伊那町に移してからは「伊那西駒山荘」と名前を変えました。そもそもこの小屋は、大正2(1913)年の中箕輪尋常高等小学校の生徒等11人が遭難したことを機に、地元内ノ萱や天狗の人たちを中心に「小屋建設趣旨書」を作り、広く寄付金を集めて建てられました。2度とこんな悲しい遭難事故を起こさないためと、内ノ萱・天狗の人たちが現地に入り、遭難から2年後の大正4(1915)年に石割積の小屋を完成させたのです。現地で花崗岩を割り、30センチメートル×60センチメートル×50センチメートルほどの直方体の岩を積み上げて造られています。広さは4.5メートル×9メートル、高さは2メートルほどで、その上に切妻の屋根を載せた形態です。
 この石割積の小屋は石室と呼ばれ、その北側に昭和52(1977)年に小屋が増築されました。しかし長年の風雪・積雪や湿気に劣化が進み、屋根は撓み、土台は腐り、増築された小屋は今回建て替えをすることになりました。小屋の建設は、歴史的にみても、地元の業者にお願いしようと進められましたが、建築材料費の高騰や職人の労務単価のアップなどで、2度も入札が不落・不調に終わってしまったのです。ようやく建築工事が地元の西武建工株式会社と契約ができ、また資材輸送業務が東邦航空株式会社と契約ができたのは、平成25年の夏も終わりの頃です。これからでは年内の完成はで到底できません。いったいどうしようかと、担当者も関係者も悲嘆にくれてしまいました。
 結局、平成25年度は基礎工事のみとして事業を繰越しました。ブルーシートや合板などで養生をして冬を越し、平成26年、つまり今年の建設に全力を注いだのです。しかし、今年は例年にない大雪と雪解けの遅れです。5月の連休に下見に行った宮下君の話では、小屋建設場所の残雪は多いところは3メートル以上もあって、このままでは梅雨明けでないと建設ができないかもしれない。と絶望的な様子を伝えてきます。4月27日の市長選挙を待って、私の所属する山岳会(伊那山仲間)の北原功会長に相談しました。「除雪のために会員を応援に上がってもらえないか?」と。
 5月17日(土曜日)、18日(日曜日)北原会長以下7名の会員が、朝4時から木曽の白川ルートから入り、西駒山荘に吹き溜まっている大量の雪の除雪に当たってくれました。すでに上がっている3名と合流して総勢10名で作業開始です。予めヘリコプターで上げてある小型の除雪機を北原大ちゃんが操作して雪を飛ばしていきます。しかし、掘り進むにつれ、養生してある基礎部分には鉄筋が無数に立ち上がっていて、小型除雪機では作業ができません。人力によっての地道な作業です。鉄製のスコップ、アルミスコップ、ジョレンなどで汗だくになりながら雪を除いていきます。掘り進むにつれて次第に雪は硬さを増していきます。とうとう氷の層がでてきました。厚さは50センチメートルほどでしょうか?スコップやジョレンでは歯が立ちません。ここからは、ツルハシやチェーンソー、それに削岩機の登場です。手には肉刺(まめ)をつくり、交代で作業を進めます。あまりの過酷な作業にダウンする者も出てしまいました。もう一日頑張れば、除雪が完了する目鼻がたち、夕方6時頃に終了しました。
 翌朝、朝ごはんの支度をしていると無線が入りました。資材輸送の東邦航空からです。何でも今日は天気が安定している。除雪作業の進捗からして、今日の午後3時頃からヘリコプターで荷揚げを始めたい旨の連絡です。北原大ちゃんが「そんなの無理にきまってるじゃんか」と返しますが、全体的な工程の遅れを取り返したい下界の思惑と、必死に除雪をしている山上との厳しいやり取りです。
 結局朝食もそこそこに8時前から除雪作業開始です。ヘリの上がる午後3時までに作業を終えて、資材を降ろす場所の整地など、みんな黙々と動いています。ツルハシ、チェーンソー、削岩機の音を鳴り響かせながら必死です。予定の3時には何とか間に合うかと思われる頃でした。パタパタとヘリコプターの音が聞こえてきます。「もう上がってきたのか?」まだ昼少し前です。ヘリは下見に来たようです。上空を旋回し様子を確認した後、小黒川本流に沿って、鳩吹公園方面に下りていきました。ようやく除雪を完了したのが昼を少し過ぎた頃です。簡単な昼食をとって下山です。疲れた体で雪に足を取られながら7人で下山を始める頃の午後1時頃、小黒川本流の谷に沿って本格的なヘリの荷揚げが始まりました。
 今回の除雪作業から一週間後、山岳の大工たちが一斉に上がり、建前・屋根葺き・電気・設備などのそれぞれの作業が順調に進み、8月1日の竣工式を迎えたわけです。
 100年に一度の大工事は、山に関わる様々な人たちの手によって進められました。それにしても今回の影の殊勲者は、除雪に関わってくれた「伊那山仲間」であるとつくづく思うのです。5月のあの2日間がなければ、きっと秋風が吹く頃の山小屋オープンになっていたことでしょう。

「清流」 まほら伊那市民大学 平成25度修了記念文集 掲載

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