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「南アルプス食害対策協議会」活動10年

更新日:2019年1月22日

 「公益財団法人 自然保護助成基金」創立25周年、まことにおめでとうございます。自然環境の保護・研究に取り組む団体、研究者等を広く支援し、生物多様性の保全等に果たされてきたご功績は多大で、強い信念のもとに基金を創設され、また、これまで基金の運営を支えて来られた関係各位に改めて深甚なる敬意を表し、心から感謝を申し上げます。
 爆発的に増えたニホンジカから高山植物や原生林を守るため設立された「南アルプス食害対策協議会」は、自然保護助成基金からの支援を受け、活動をスタートさせることができましたので、これまでの経緯、また10年を経過しての課題、今後の取組み等を述べさせていただきたいと思います。

私は長く山登りをしており、冬山や岩登りなど本格的な登山を始めてから 40数年にもなります。主なフィールドは南アルプスと中央アルプスです。行政に入ってからはなかなか山に行く機会はありませんが、それでも年に数回は登っています。中でも南アルプス仙丈ヶ岳は好きな山で、北沢峠からの一般登山道や、地蔵尾根のクラシックなルートから、あるいは三峰川を遡行したり、三峰川上流の岳沢や、三軒岩小屋沢のような沢を登ったりしていました。ところが仙丈ヶ岳周辺で気になっていることがありました。高山植物がないのです。「花の仙丈ヶ岳」と呼ばれていたお花畑がどこかにいってしまったのです。原因はニホンジカによる食害でした。かつてシナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンフウロ、タカネグンナイフウロ、ハクサンチドリ、クロユリ、クルマユリなどが群れて揺れていた光景が、消えてしまったのです。五合目直下にあった、キバナアツモリソウの貴重種は、影も形もありません。お花畑はまるできれいに、しっかり手入れされたゴルフ場のように変わってしまいました。
一刻も早い対策が必要であり、当時私は伊那市収入役でしたが、国や県、関係市町村、また地元の信州大学農学部に働きかけを始め、「南アルプス食害対策協議会」を平成19年秋に設立し、当時の小坂伊那市長が会長に就き、伊那市が事務局を務めることとしました。協議会全体で対策の必要性・緊急性を共有することができましたが、当面の資金確保をどうするかが課題でした。そこで、財団法人自然保護助成基金に緊急助成をお願いし、活動支援の決定をいただきました。平成20年7月上旬、協議会関係者で仙丈ヶ岳馬の背において現地調査を行い、当面の有効な対策として、ニホンジカの食圧の激しい箇所を防鹿柵で保護することを決めました。国立公園第1種特別地域内における前例のない取組みであり、許認可等に時間を要することは必至でしたが、私も含め当日調査に参加したメンバーで、1ヶ月ですべての手続きを済ませ、同年8月上旬に防鹿柵を設置することを決めました。何かと時間のかかる役所の仕事としては画期的なことでした。柵設置作業当日は多くのボランティア皆さんの協力も得て、所期の目的を達成することができました。今振り返りますと、行政の常識を覆すスピード感をもって対策を講じることができたと思いますが、これはニホンジカの食圧に対する関係者の危機感の表れでもありました。このような急を要する対策を実施するにあたり、自然保護助成基金からは、平成20年度から3年間にわたり活動資金をご支援いただき、発足間もない協議会の活動を軌道に乗せることができました。改めて厚くお礼申し上げます。設置から2年後の平成22年夏には、防鹿柵の中で、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンフウロなどが一斉に開花し、かつてのお花畑が復活しました。
平成20年度に仙丈ヶ岳馬の背に3か所設置した防鹿柵は、平成26年度まで増設を行い、現在は12か所、延長1,151mとなっています。この仙丈ヶ岳馬の背一帯は標高約2,500mで雪崩も多いことから、柵の損壊を防ぐため、設置以降毎年6月から7月に防鹿柵のネットを上げ、10月中下旬に冬を越すためネットを下げるということを繰り返しています。柵内の植生は年々変化しており、毎年の状況は協議会構成員である信州大学農学部により継続調査が行われ、10年間のデータ蓄積となり貴重な資料になっています。ミヤマキンポウゲやシナノキンバイも復活してきましたが、特定の種(マルバダケブキ、ヒゲノガリアス等)の優占化も見られ、信大農学部からは、今後はイネ科ノガリアス属のモニタリングが必要との指摘があります。
防鹿柵での植生保護は緊急避難的対策であり、ニホンジカの適正な生息数に向けた管理が生物多様性の保全につながります。伊那市では、猟友会と連携してくくりわなによる捕獲に力を入れてきており、その個体数も減ってきていますが、引き続き様々な工夫をして取組みを進めなければなりません。
 南アルプスの自然環境、生物多様性は私たちのかけがえのない財産です。一人でも多くの人々とこの財産を共有できるよう、関係団体や志を持つ皆さんと連携し、今後も協議会の活動を続けて参ります。いつの日か防鹿柵が撤去され、高山植物が咲き誇る、仙丈ヶ岳登山道を歩くことを夢見ています。

南アルプス食害対策協議会
会長 白鳥 孝(伊那市長)

公益財団法人自然保護助成基金pro naturaニュース 平成30年11月 寄稿文

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電話:0265-78-4111(内線2133)
ファクス:0265-74-1250

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