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たき火通信 其の六十二

更新日:2015年9月1日

塩イカ

 夏の暑さは年々厳しくなり、残暑も半端ではない気温がいつまでも続くようになりました。この残暑厳しき季節、私にとって夏の食べ物として、ソーメン、トウモロコシ、ナスの味噌炒め、ビールに加えて「塩イカとキュウリ揉(も)み」は欠かせません。
 塩イカは日常的に食べられている「ふるさとの味」として私たちの食生活にあります。茹でたイカの中身を抜いて、ゲソの部分を胴体に差し込んだ状態で売られています。スルメイカが主流で、しっかりと塩で漬け込んであるのでそのままではしょっぱくて食べられません。いわゆる海なし県の保存食、塩蔵(えんぞう)食材として重宝され、私たちの味覚の記憶に刻まれています。最もポピュラーな調理方法は、塩抜きをしたイカを斜め半月に切ります。この斜めに切るところがポイントで、イカのうま味を一層引き出します。それにキュウリを輪切りにしたものと揉んで、少々の酢を加え刻みショウガをのせて出来上がりです。または、半月切りのイカと酒粕 + キュウリの粕和え(かすあえ)も好きな食べ方です。半月切り塩イカ + キャベツ + 千切りニンジンも絶品です。塩イカの塩加減は抜きすぎても、残りすぎてもダメで、ここの塩梅(あんばい)が微妙です。
 この塩イカ、ご存知でしょうか?全国で食べられているのは、長野県だけだということを。(岐阜県の一部にもあるらしいですが)長野県でも特に南信地域がずば抜けて多く、加工は福井県、青森県、富山県などの海あり県が多いようです。普段から美味しい生のイカを口にしている福井や富山のみなさんは、「信州の人たちはこんな塩辛いものをなぜ食べるんだろうね?」なんて会話しながら作っているのでしょうね。
 夏は「塩イカ」と「冷たいビール」、こんな贅沢(ぜいたく)な味を知らない海あり県のみなさんに感謝して乾杯!です。
 平成27年9月 白鳥 孝

塩イカとキュウリ揉み
塩イカとキュウリ揉み

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