たき火通信 其の百五十五

長女が小学校6年生の時、夏休みの宿題で「羽広道（はびろみち）」の観音様を探して歩いたことがありました。4年生の次女と2年生の長男、そして私の4人で「羽広道」の起点、坂下常圓寺（じょうえんじ）の「坂下（さかした）の辻（つじ）」から、一丁（約109ｍ）ごとにある観音様を探しては、スケッチと写真を撮りながら西箕輪の「羽広山仲仙寺（ちゅうせんじ）」まで炎天下を歩きました。涼しいうちにと朝早く歩き出したものの、「羽広山仲仙寺」に着いたのは、午後3時を回っていました。成人した子どもたちは、「羽広道」のことは今でも鮮明に覚えているようです。

いよいよ夏休みの到来です。今回は、親子で夏休みの思い出をつくることをお勧めし、いくつかの思い出づくりメニューを提案します。

まずいち押しは、入笠山（にゅうかさやま）の軽登山です。登山口の駐車場までは伊那市街地から車で1時間ほどです。ゆっくり歩いても40分で山頂に着き、360°の展望は群を抜いています。山頂から下って、大阿原（おおあはら）湿原（しつげん）を周回するコースは、静寂につつまれた素敵な散策ができます。守屋山（もりやさん）もいい山です。ここもゆっくり歩いても1時間と少し、山頂からは日本百名山が32座、山座同定できる眺望を誇ります。その他、権兵衛（ごんべえ）峠（とうげ）・高烏谷山（たかずやさん）・鹿（か）嶺（れい）高原（こうげん）なども手軽でいい山です。

次は地域の歴史に触れる提案です。道祖神（どうそじん）・庚申塔（こうしんとう）・石仏（せきぶつ）・馬頭（ばとう）観音（かんのん）・狛犬（こまいぬ）など、石に刻まれた地域の歴史を訪ね歩く知的な遊びです。いつの時代に誰かが目的をもって彫ることで生命を与えられた石たちであり、地域の歴史を知るきっかけになるでしょう。

次は指導者が無ければできませんが「スガレ追い」です。スガレと呼ばれるクロスズメバチの巣を探しあてて自宅に持ち帰り、エサを与えて蜂を飼います。野山を駆けまわる「スガレ追い」は、大の大人が夢中になるほどの魅力を持ちます。

他には、盆に仏さまに飾る「盆花」を探しに野山を歩くのも楽しいと思います。キャンプや川遊びも素敵です。暗闇にホタルを探すのも幻想的です。河原の変わった石を探すのも面白いです。ぜひ友だちや親子で出かけてみてください。そして夏の思い出をいっぱいつくってください。