たき火通信 其の五十八
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更新日:2015年5月1日
下山ダッシュ
ここ何年か、職場の仲間や友人たちと飯田線の旅をしています。豊橋から伊那市駅まで各駅停車で6時間の旅、小和田(こわだ)・田本(たもと)、為栗(してぐり)、中井侍(なかいさむらい)などの秘境駅を巡る旅、水窪(みさくぼ)駅から佐久間ダムの歴史を訪ねる旅など、ともかくいつ行っても楽しい旅です。なかでも参加者誰もが「きつい」、「ごしたい」、「二度としたくない」と太鼓判を押すのが「下山ダッシュ」なるスリル満点の徒競走です。
飯田線に乗って愛知・静岡・長野と県境を越えてくると、天竜峡駅から6つ目に下山村(しもやまむら)駅があります。ここから飯田線は飯田松川に沿って大きく上流に迂回し、飯田駅から再び下る、つまり「Ω(オメガ)」を描くような線形になっています。下山村駅で電車を降りて、「Ω(オメガ)」の最短距離を走り、伊那上郷(いなかみさと)駅で再び同じ電車に乗ることができるか?というばかばかしいけれど真剣な遊びが「下山ダッシュ」です。下山村駅から伊那上郷駅までの距離は2.3キロメートル、標高差はおよそ70メートルの複雑な登り、電車のダイヤによっても異なりますが、持ち時間は18分から20分ほどです。道が複雑なことに加えて、信号機が4カ所あって、当然信号無視はご法度です。赤信号が重なれば焦ることしきりの飯田線と人間との競争です。負けると次の電車まで1時間以上は待つことになります。
今回は仲間10人で走りました。自信のない3人は下山村駅で見送りをして、伊那上郷駅で私たちを迎える電車組です。下山村駅から走り出せばみんな真剣です。てんでにダッシュ、ダッシュです。夫婦であろうと、上司がへばろうが、たとえ私が遅れようが、みんな一目散に自分だけはと遅れまいと走ります。急坂を走り、汗だくだくになって、ハーハー言いながら走ります。こんな犬も振り向かない「下山ダッシュ」は、知る人ぞ知る飯田線ファンにはたまらない魅力のひとつです。
平成27年5月 白鳥 孝
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