たき火通信 其の九十三
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更新日:2018年4月1日
学校を残す
伊那市内には小学校が15校あります。全児童数は3,762名(平成29年5月現在)で、600名を超える大きな学校もあれば、40名を割るような小規模の学校もあり、それぞれ長い歴史の中で地域のみなさんから大切にされてきました。お母さんお父さんも同じ小学校の卒業生という家もあると思います。秋の青空の下での運動会や授業参観、環境整備などの作業に行った思い出もあることでしょう。小学校は私たちにとって大切な「よすが」であり、地域を語る上での「へそであり象徴」でもあります。
近年は大都市ばかりに人口が集中する反面、地方都市は高齢化と少子化が進んでいます。全国では小学校の廃校や統合などのニュースをよく耳にしますが、小学校が消えるということは、地域が一気に瓦解(がかい)する契機(けいき)ともなってしまいます。小規模な学校は先生の目が細部まで行き届き、児童同士も顔が見えて良いと言う利点もあります。一方では、小規模校を卒業して大きな中学校に入学すると、その規模に圧倒され気おくれすることもあれば、また、小規模校では音楽や理科・美術などの専科の先生が確保できにくい事情もあります。
このような難題・課題の解決手段に「ICT(アイシーティ)」という手法が登場しました。情報通信技術、いわゆるICTを教育現場で活用できる時代になったということです。教室に電子黒板、パソコン、プロジェクター、タブレットなどが導入され、それがインターネットで校内や、伊那市内の大規模や小規模の学校同士が結ばれるわけです。
すでに高遠北小学校と長谷小学校間、新山小学校と手良小学校間などで、総合的な学習・算数・理科・国語などの共同授業が行われています。その数は40回にもなります。長谷中学校と県下でも最大規模の東部中学校の交流もあります。理科の実験や英語をインターネットを活用して合同で授業を行っています。
伊那市でのこうした取り組みは、「ICT教育」の実証実験のモデル都市として経済産業省から認可されました。全国の先駆けです。新しい時代の新しい技術が、地方都市の課題解決に光明をもたらしてくれたのです。統合や廃校をせず、小学校がそこにあり続けるために新技術を活用する好事例です。
平成30年4月 白鳥 孝
東部中学校と西春近北小学校の理科合同授業の様子
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