たき火通信 其の八十二
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更新日:2017年5月1日
東北の復興さくら
東日本大震災の翌年から、災害復興の支援として宮城県気仙沼市に毎年職員を派遣してきました。危機管理、税務、土木、病院総務のエキスパートを1名ずつ、復興の手助けとなればと送り続けてきました。彼等は条件の悪い環境で暮らし、早朝から夜遅くまで、休日を削りながら懸命に働き続けてくれました。そんな彼等を慰問と激励に訪れたときのことです。
北原君は気仙沼市立条南中学のグランドにある仮設住宅に暮らしていました。10数棟の一角にある部屋は、四畳半一間、ユニット式のトイレと風呂、そして狭い台所です。玄関のドアを開けると部屋の中には洗濯物がぶら下がっています。「こんな狭い不自由なところで申し訳ないね」と声をかけると、「被災している方はもっと辛い生活です。全然不自由ではありません」と、洗濯物を片付けながら話してくれました。北原君は、伊那中央病院の勤務経験から、気仙沼市立病院での支援活動をしていました。
その彼が平成28年(2016年)に帰ってきました。そしてこんなことを言ったのです。「気仙沼市には、市民のみなさんの憩う桜並木がありましたが、津波や堤防の嵩上(かさあ)げですべて枯れたり、伐採されてしまいました。そこで、伊那市から復興支援のシンボルとして高遠の桜を送ることはできないでしょうか?」、「小高い丘にある病院の周りに、遠くからでも市民のみなさんが見えるところに植えることは無理でしょうか?」
この話を部局長と相談したところ、みなさん大賛成で桜を送ることに決まりました。そして高遠町片倉で桜を育てている守屋源一さんに話しました。「そんな結構な話はない。うちの畑で育つエドヒガンザクラとシダレザクラなら欲しいだけ持っていってくれ」との嬉しい返事です。桜守のみなさんが根回しをしてくれ、このたび気仙沼に届けて植樹です。門外不出のタカトオコヒガンザクラも2本植樹することになりました。5月24日、守屋さんと北原君と一緒に気仙沼市立病院に伺う予定です。
伊那市と気仙沼市、桜の取り持つ佳話(かわ)です。
平成29年5月 白鳥 孝
津波は湾の奥深くまで襲ってきました
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