たき火通信 其の百二十四
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更新日:2020年11月25日
令和の秋葉街道
南アルプスと、その西にある伊那山脈との間に壮大で悠久の道があります。北から辿ると諏訪湖から杖突峠を越え、高遠町・長谷から分杭峠を経て大鹿村に入り、さらに地蔵峠から南信濃へ、そして静岡県と境をなす青崩峠を結んで、浜松で国道1号に合流する道です。国道152号、別名を秋葉街道と言い、大断層の中央構造線に沿って引かれています。
この道は古くから使われていました。山国信州と太平洋を最短で結ぶ道は、縄文時代から利用があり、南北朝時代には宗良親王が大鹿に居城しながら北朝との戦いに、戦国時代には、浜松の徳川家康を攻めるために、甲斐の武田信玄の軍勢が通りました。そして江戸時代になると、火伏せ・火防の神様として、諏訪・伊那・高遠・飯田の庶民が遠州秋葉神社まで往来した信仰の道でもあり、太平洋の塩や都の文化・芸能などを運んできた道でもありました。
国道152号には青崩峠と地蔵峠の2カ所は「不通区間」があり、道のない幻の国道とも言われています。青崩峠からは、北に八重河内川の谷筋に沿って深い谷が続いているのが見えます。そしていたるところに青く脆い崩落が見られ、中央構造線の大地の鼓動が聞こえてくるようです。
かつて何百年・何千年と人々が往来してきた古道・秋葉街道は、令和の現在、大規模な道路工事の真っただ中にあり、難所の青崩峠の真下にはトンネルが穿たれ、「青崩れ峠道路」6.9kmの大工事が国家的事業として進められています。この事業は「三遠南信自動車道」の建設工事で、中央道飯田山本ICから、浜松いなさJCTまで繋ぐ約100kmの高規格道路です。完成すると新東名高速道と中央道が結ばれ、ものづくりの浜松工業地帯と、伊那谷(INA valley)は、1~1.5時間の距離となります。人口約240万人の大都市との交流を目前に、観光・製造業・農業・教育などの各分野において、今から怠りない準備が求められてきます。開通まであと数年です。
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