たき火通信 其の三十
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更新日:2014年10月1日
農地を守ることはここに生きることです
猪垣(ししがき)
ニホンジカとならび、イノシシにもほとほと手を焼いています。イノシシの主食は、好物のミミズ・カエル・サワガニなどのほかに、クズの根・木の実などですが、ジャガイモやサツマイモ・リンゴなどの農作物も大好物です。イノシシの被害は近年に始まったことではなく、古く江戸時代の人々もその対策、駆除に腐心(ふしん)していました。わなや落とし穴を仕掛けたり、竹槍・鉄砲によって捕獲したり、苦労の連続でした。
西春近諏訪形(すわがた)の伊那西部広域農道の西側に「猪垣(ししがき)」と呼ばれる構築物があります。高さ1.5mほどの土手の上に木を埋め込み、それをつないで柵が作られています。これは江戸時代にあったとされる防護柵を再現したもので、長さはおよそ40~50m、山から里に侵入するイノシシなどの獣を防いでいたのです。江戸時代、こうした施設は金銭的にも労力的にも、ひとつの集落で対応はしきれませんでした。そこで、西部山麓一帯では、現在の箕輪町あたりから、伊那市西箕輪、西春近、宮田村まで続く猪垣を作り、イノシシやニホンジカなどの侵入を防いで、野生動物と戦ってきたのです。イノシシは雪に弱い動物です。従って雪の深い東北地方や北陸地方には生息していません。九州・中国・近畿・瀬戸内に多く見られ、猪垣と同様にイノシシ対策用としての構造物は、石垣や土塁、堀などの形で、これら地域に残っています。中山間地域の過疎化、耕作放棄地の増加に加え、狩猟人口の減少と高齢化は、ますますイノシシたちが跋扈(ばっこ)する環境を助長しています。今の時代、狩猟や電気防護柵・わななどで対処していますが、里山の環境整備と個体数調整で根気よく対応していかなければなりません。
平成24年12月 白鳥 孝
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