たき火通信 其の百八十三
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更新日:2025年12月25日
ツキノワグマのゾーニング

檻に捕獲されたツキノワグマ
獣害が喧しい年が続いています。増え続けるニホンジカやイノシシ、ニホンザル、ハクビシン、カラスの被害など、農家の皆さんの悩みは怒りに変わり、対策に苦慮し続けています。
なかでもツキノワグマの恐怖は、近年ますます大きくなっています。全国的には東北地方や北海道を中心に人身被害が増大して、死者は13人とも14人とも言われています。怪我をした人も年々増えて、2025年は過去最高になりました。
伊那市でも近年、ツキノワグマに襲われる事故が何件かありました。西箕輪中条では、早朝お年寄りがトウモロコシ畑で顔を叩かれ、40針以上縫う事故があったり、大萱でもお年寄りの女性が、家の前で襲われて大怪我をすることがありました。私も通勤途中で目撃したことも、登山の最中に至近距離で出会ったこともありました。私たちの身近にいるのがツキノワグマです。
ツキノワグマによる事故の原因は様々言われています。東北地方では好んで食べるブナの実が凶作であり、またミズナラ・コナラなどの堅果類が乏しいから人里に出てきているとも、そもそも個体数が倍増しているから遭遇があるのだとも言われていますが、正確な原因はわかっていません。アーバンベアと言う、人間の生活圏で生息するツキノワグマが常態化しているのも事実です。
伊那市では市民の皆さんの命を守ることを最優先として、長野県ツキノワグマ保護管理計画において「ゾーニング」の認可を得ました。これは、森林など本来ツキノワグマが生息する「主要生息地域」と、私たちが日常生活をしている住宅地や農地などを「防除・排除地域」とし、そのあいだに林縁から200m幅の「緩衝地域」を設けて、ゾーンによる管理をするというものです。
具体的に言うと「防除・排除地域」で捕獲されたクマは個体数調整として殺処分、「緩衝地域」でくくり罠や檻などで捕獲されたクマは、県の判断を得て放獣若しくは、状況により個体数調整とするものです。このゾーニングは長野県下の市では、初の取り組みとして注目されています。猟友会の皆さんに感謝です。
市民の命を最優先に考える時、ツキノワグマとの遭遇や事故がないよう最善の対応をすることが行政の使命と言えます。
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