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たき火通信 其の百六十七

ページID:246338127

更新日:2024年7月24日

バイクに乗っていた頃


いつまた乗れるのか

社会人になってまもなく、友人から借りて乗ったバイクに、一瞬にしてとりこになりました。バイクの名前はホンダ「イーハトーブTL125S」。「イーハトーブ」とは、岩手県花巻出身の詩人であり、童話作家の宮沢みやざわ賢治けんじが、ふるさと岩手を理想郷として指した心象的な言葉(造語)です。友人はこのバイクに乗って、全国から岩手に集まるイーハトーブの大会に行くのだと話してくれました。125ccの小さなバイクが全国から集まる大会、どんな人たちが集まり、どんな語らいをするのだろうと夢が広がりました。このバイクに刺激されて、ほどなくスズキ「ハスラーTS250」の中古バイクを購入しました。ハスラーTS250は小さな燃料タンクがスマートで、ヘッドライトは丸く薄型、全体的に「シュッ」としたスタイルです。エンジンは空冷単気筒2ストロークなので、エンジン音は「タンタンタン」と乾いた快適な音をかなでます。

バイクには大きく分けて、オンロードバイクとオフロードバイクがあります。オンロードバイクは舗装道路を走り、オフロードは未舗装の林道などを走るように設計されています。ハスラーは、オフロードバイクで、購入してからは会社へ出勤するときも、山奥のイワナ釣りに出かけるときも、林道を走るときも、雨降りと冬以外は、暫くバイクと一緒の生活が続きました。

バイクの魅力はやはり風と匂いと自由さでしょうか。自宅から山道を走り、下林道を抜け経ヶ岳林道まで一気に駆け上がると、軽トラでも難渋なんじゅうする道でもオフロードバイクは軽快に走ります。春先のぬかるんだ道も、路肩の半分欠けたような林道でも難なく走ることができます。

春の雨上がりの、冬が終わって農作業が始まる頃のワクワクした空気のなか。しっとりとした涼味に包まれた朝露の山道、真夏の緑色のなかを走る草いきれの匂い。リュウノウギクの清楚な姿にバイクを止め、イワシ雲の秋空と、キャラメルのように甘い香りのカツラのなかをひとりで走る幸せ。晩秋、権兵衛峠の頂きにハスラー250を止めて眺める伊那谷の開豁かいかつな景色。どれもこれも自由放胆ほうたんな自分になれるバイクとの記憶です。

お問い合わせ

伊那市役所 総務部 秘書広報課 広報広聴係

電話:0265-78-4111(内線2131 2132)

ファクス:0265-74-1250

メールアドレス:his@inacity.jp

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