たき火通信 其の百七十五
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更新日:2025年3月26日
復活した西天竜発電所
災害時には電気の使える避難所となる
伊那市小沢にある「西天竜発電所」は、田中元知事時代の「脱ダム宣言」の後、長野県企業局事業の民営化計画を経て、中部電力への一括譲渡の話が進み、2010年には施設の廃止決定がされた発電所です。
私が市役所に来たのが平成16年(2004年)でしたから、脱ダム宣言の大嵐が吹き荒れていた頃でした。そんなさなか、クリーンな小水力発電を止めないでほしいと、当時の西天竜土地改良区の理事長や地元区長の皆さんと、長野県企業局へ西天竜発電所の継続要望に何度か足を運びました。
西天竜発電所は、昭和14年に完成した「西天竜幹線水路」、通称「西天」と呼ばれている灌漑施設の水を利用した発電所で、昭和36年に建設されました。「西天」は岡谷市川岸の頭首工で天竜川から取水し、辰野町・箕輪町・南箕輪村・伊那市を流れ、小沢地籍で小沢川に落水しています。
「西天」は、深沢川・帯無川・大泉川・大清水川などによってつくられた広大な扇状地を横断して流れています。この一帯は砂礫層のため、雨はそのまま地下に浸透してしまい、農作物は育ちにくく、せいぜい桑園か松林か雑草の茂る荒れ地でした。延長25kmの「西天」が完成したおかげで、不毛の大地は水田や畑として開墾され、県下でも有数の穀倉地帯となりました。
一度廃止の決まった西天竜発電所を復活させることはなかなかハードルが高く難しいものでした。ところが2011年に発生した「東日本大震災」とこれに絡む「東京電力福島第一原子力発電所事故」が流れを一変させました。当時、阿部知事は、クリーンエネルギーの小水力発電は長野県にとって必要なものであると、発電事業を継続する決断をしたのです。
市内の西天竜発電所、春近発電所、美和発電所などは生き残り、なかでも西天竜発電所は、それまでの大型発電機1台の稼働から、少ない水でも発電可能な小型発電機2台に変えて、3,200kWの発電ができるようになりました。これは一般家庭電力の4,450世帯分といわれる能力です。災害時には避難所となり、充電装置も備えた「西天でんでん広場」として憩いの公園にもなっています。
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