たき火通信 其の四十
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更新日:2014年10月1日
マツノザイセンチュウは外国の木材とともにやってきました。
松枯れ
数年前から上伊那地域のアカマツが枯れだしています。中川村からだんだんと北上し、伊那市内では標高800m付近までその範囲を広げています。小沢川や小黒川の段丘崖、東春近・富県地区、野底・福島地区、最近は美篶から高遠町まで拡大しています。マツタケ産地の松林も、神社境内の銘木も、段丘崖の景観を形づくる松も、赤く枯れたり元気なく黄色く変色したりと、急速に枯れ木が目につくようになりました。南方から被害を広げてきた松枯れは、20年ほど前に愛知県や岐阜県あたりを通過北上し、あれほど青々と茂っていたアカマツ林は、今ではほとんどなくなってしまいました。これはアカマツを枯らす病気で、原因は1mmにもみたない「マツノザイセンチュウ」という線虫と、それを運ぶ「マツノマダラカミキリ」に起因しています。松枯れの実行犯がザイセンチュウ、その運び屋がマダラカミキリです。高い品質で知られる上伊那産のアカマツは、木材として使用されることなく枯れ、また枯れた木は倒木の危険をさらしています。対策はなかなか有効なものがなく、薬剤散布・薬剤燻蒸(くんじょう)・破砕チップ化、薬剤の樹幹注入などの方法がとられています。どれも一長一短があり、決定的な対策とはなっていません。このような実態のなか、ただ枯れるのを無為に待つのではなく、アカマツを適期に伐採して木材として利用する取り組みを始めています。伐採後は広葉樹やヒノキ・スギなど、別の樹種に変える、樹種転換・更新伐といわれる方法です。先人が私たちのために植えて、大切に手入れをしてきたアカマツを枯れる前に有効に活用することが、仕方ない選択でも賢明な選択でもあるのです。
平成25年10月 白鳥 孝
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