たき火通信 其の百五十三

高遠城址公園のやや東にある、「高遠しんわの丘ローズガーデン」は、西に開けた山の斜面に造られたバラ園です。遠景・中景・近景の絶妙なバランスの借景（しゃっけい）を創り出しています。遠景には雪の残る中央アルプスの山々、中景は田園風景と歴史と文化の高遠の町並み、そして近景は約270種類、3,000本のバラたちが、色とりどりの花々と甘い芳香（ほうこう）を競い合うバラ園です。

「伊那まちバラぶらり」の通り町商店街のバラも素敵です。中心市街地のアーケードに咲くバラは、20年ほど前から地元の商店街のみなさんが丹精込めて育ててきました。大きな鉢植えのバラは色とりどり、まちなかを習々（しゅうしゅう）と渡る風とさんさんとした光に、ひときわ輝いています。

「高遠しんわの丘ローズガーデン」と「伊那まちバラぶらり」の2ヶ所を主な会場として、6月3日（土曜日）と4日（日曜日）に「全国ばら制定都市会議（ばらサミット）」が開催されます。この会議にはバラを市町の花に指定していたり、バラが広く市民に愛されている自治体などが加盟しています。伊那市も平成29年（2017年）に加盟が認められました。

ばら制定都市会議の加盟自治体は29。北海道岩見沢市（いわみざわし）、神奈川県横浜市（よこはまし）、広島県福山市（ふくやまし）、山口県宇部市（うべし）などと、長野県内では伊那市のほかに一本木（いっぽんぎ）公園（こうえん）で有名な中野市（なかのし）、坂城町（さかきまち）が参加しています。

山の斜面に造られたバラ園は、アンネのバラの咲く「愛の庭」から始まり、「天使の羽」、「祈りの庭」、そして「太陽の雫」と下っていき、最下段には「アルプスの庭」から伊那谷の眺望が楽しめる設（しつら）えになっています。色とりどりのバラの咲く庭やアーチ、パーゴラを楽しみながら坂を下りていくと、今度は坂道を折り返して登らなくてはなりません。高齢者や障がいを持つ方には辛い登りです。そこで日本初、今シーズンからＳＤＧｓの一環で自動運転のカートを導入しました。

ダイナミックなパノラマの「高遠しんわの丘ローズガーデン」、「伊那まちバラぶらり」など、バラの咲く期間中は、市内各地で盛りだくさんのイベントがあります。「全国ばらサミット」を契機に伊那市のバラは全国進出をめざします。