たき火通信 其の百八十四
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更新日:2026年1月22日
入笠牧場のおわり
牛のいるなつかしい風景
入笠山(1955m)の山頂から眺める八ヶ岳連峰と、のびやかに広がる裾野の景色は秀逸です。八ヶ岳から左に転じれば、霧ヶ峰・美ヶ原高原と北アルプスの山々が目に入ってきます。さらに中央アルプス、南アルプス北部の山々、それに秩父連峰や富士山までが見え、ひとまわりすると入笠山は360度の展望をほしいままにできる山です。
入笠山のすぐ北に大沢山があり、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の研究施設があります。その大沢山の南山麓と、入笠山西山麓一帯から御所平峠にかけて「入笠牧場」があり、入笠高原を代表する牧歌的風景をつくっています。
入笠牧場は昭和12年(1937年)に軍用馬の飼育を目的に開牧したのが始まりです。牧場面積は国有林と伊那市有林を合わせておよそ305ヘクタール、初夏になると上伊那や諏訪方面から牛やヒツジがトラックで次々と運ばれてきました。涼しい高原で牧草をいっぱい食べて、秋の下牧までの4ヶ月以上をゆっくりと過ごしていました。昭和30年代には、乳牛・肉牛・ヒツジなど毎年放牧され、一帯は家畜たちが賑わう牧場だったようです。昭和60年代から平成のはじめの頃が最盛期で、牛が約300頭、ヒツジが約200頭ほども放牧されていました。
牧場は第1牧区から第7牧区に分けられ、それぞれ有刺鉄線の牧柵で囲われていました。また牧区内には牛たちが容易に移動できないように、また日陰で休めるようにと帯状に植えられたヤマナシの木々があります。5月半ばから咲くヤマナシの花は白く、ヤマナシの白い帯と緑の牧草が美しい初夏の景色を見せてくれます。
ところが令和に入ると放牧される牛の頭数が減り、近年では20頭にも満たないで赤字が続いていました。管理するJA上伊那は、令和6年に牧場とキャンプ場などからの撤退を決めました。90年近く続いた入笠牧場が閉牧することは残念ですが、これも仕方ないことです。特に長年管理を委託されてきた牧夫のM氏は、ことのほか寂しさを語っています。
山頂の大パノラマ・星空・大阿原湿原・法華道・静かなキャンプ場・四季の花々など、伊那市の財産、観光資源としての入笠山一帯の活用の可能性を検討する時期となりました。
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